
『花時間』「特別編集 ウエディングブーケ&花飾りVOL.12」(角川書店)38ページを転載 「10色で魅せる、ローズブーケコレクション50」
撮影・山本正樹氏、構成と文・中矢真奈美氏、
撮影協力・アートグレイスクラブ、フィオーナ FOUR SIS &CO、ベリッシマ、ホワイト ドア
このページ右に表紙写真のある雑誌『花時間』vol12のブーケ記事です。
このトロワラスのブーケは人気があって、
「こういう感じで!」とおっしゃってくださる新婦様が多く、
あらためて『花時間』さんに感謝しています。
先日の、ユリブーケの撮影の際に
自分が駆け出しのころから第一線で活躍されているデザイナーの方々と
ご一緒する機会があり、そのブーケを実際に見ることができました。
一見、なんでもないように見えて、
モデルさんが持ったとたんぱちっと決まるその印象。
つぼみひとつをワイヤリングして作り上げられるディティールの細かさ、
ブーケとなった花の強さ。
思わず見入ってしまいました。
「才能」という言葉が頭に浮かんで、
それから、あっと思って、
よく一呼吸してから、
その言葉をちゃんと両手でつかんで、
横におきました。
「才能」というのは、とても便利で、とても危うい言葉です。
「あの人には才能がある」と言っている間は
努力しなくてすむからです。
「自分には才能がない」と言ってしまえば、
なにもしなくても出来なくても言い訳がたつ。
そういう自分も、ずっと以前、「才能」という言葉に
とりつかれていた時期がありました。
生意気にもスランプめいたものだったのかもしれません。
もうずいぶん前ですが、
たまたま市場で知り合ったある人と仲良くなり、
何かの折に一緒に食事に行った時がそのピークでした。
わずか2時間ほどの間に
「自分には才能がない」と何回言ったか
これを書いている今、思わず赤面してしまうほどです。
その人は、黙って私の話を聞いてくれて、
最後にひとこと、こう言いました。
「それじゃあ、岩橋さんの言う、才能って何?」
答えられませんでした。
答えられなくて、それもまた情けなくて、
またもがく日々が続いたのですけれど、
今思うとそれがひとつのターニングポイントだったような気がします。
今、冒頭のようにごくたまにまた危うい気持ちで使いそうになる時、
それはそれとして、深呼吸してからちゃんと横におくようにしています。
その言葉にまどわされないように。
私にとってもしも「才能」というものがあるとするなら
それはたぶん代償が必要ならかなう限り差し出すと決めていること、
そのくらいだと思います。
でもその話はまたいずれ、別の機会に書きますね。
今週もまた皆様お疲れ様でした。
