赤のブーケ、これはプリザーブドで

色の表記は
クランベリー、チェリーブロッサム、セピアピンク。
挿し色にする
ヘイゼルナッツの茶とラベンダー紫のカーネーション。
札幌まで宅急便でお届けしたものです。

きりかえす、
という単語を最近よく思い出します。

それはもう思い出せないほど遠い昔、
運転免許の教習所で、ベテランらしい年配の講師が
ビデオを見ながら解説していた中に出てきた一言。

いわく、車をこする時はたいてい法則がある。

危ないかな、と思った時に
まあいいやと考えてあるいは何も考えないで
アクセルを踏むから、こすってしまう。

危ないかな、と思った時に、
まあいいやと思わずに、ブレーキを踏んで
切り返しをすれば、こすらない。

それだけのこと。

でも今も、その言葉をときどき思い出します。
自分自身もアシスタントさんも、
なにか小さなくだらないミスをする時は
たいていまあいいやと思ってそのまま踏み込んでしまうときです。
結果、より傷が深くなってしまう。

なんかあんまり良くないな、やばいかな、
これで大丈夫かなと思ったときに
一度ブレーキを踏んで、
どうせやり直すのならきちんとやり直さないと、
余計に後から困ります。

という、自分の中の黄金ルールを踏まえて
作ったブーケでした。

万全でことにのぞめることなどはありません。
いつも寝不足だったり風邪をひいていたり、なにか
いらいらしていたり、仕入れがうまくいかなかったり、
道が混んでいたり、誰かとけんかしたり

いろんな不具合がある中で、
それでも粘って、少しでも、よいと思う形に
近づけていくこと。

私の作るブーケは、ただ単に丁寧なだけです。
同じように丁寧な作業を積み重ねさえすれば
どんな人でも作れます。センスは要求されません。
昔の人の工芸品でよくあるように、
名工の細工ではないけど、何度も手を重ねた
その作業でできる花なんです。

今月の一会のレッスンもそうでした。
昨日のレッスンでは上手に花束ができるばっかりに
かえって難しくなり、それでも粘って粘って、
そうして完成させた生徒さんがいました。
今日のレッスンでは、きた時はへとへとに疲れていたのに
手がけるうちに少しずつ集中できてきて、
最後はとても元気になってくれた、生徒さんもいました。

きりかえす、ということ。

たとえば野球でミスをする選手に、
このミスを引きずらないで
気持ちを切り替えて、と簡単に解説者が言います。
でも、それに似ています。

はい、地味ですとも。

地味で何が悪い。(ひらきなおり)

では、皆様今日もお疲れ様でした。