「ワイヤーが、重すぎる。」
と、金曜日、
えらそうに上から目線でしかし有無を言わせぬ口調で、
自分はアシスタントさんに言いはなつわけです。
何様だおまえは。
と自分でも思うんだけども。
「花嫁さんはさ、普段着慣れないドレスとかきて
普段はかないよな高いヒールを長時間はいてさ、
笑顔でみんなにずっと挨拶し続けるんだから、
だからさ、せめて髪につける花は、
極限まで軽くしてあげたいんだよ。
24番では重すぎる、26か28にして。」
と、アシスタントさんにNGを出してます。
もうね、
口うるさいったら細かいったら、
夜道で後ろから刺されても
しょうがないレベル。
たとえば、
スイートピーって、仕入れロットが50本じゃん?
この50本はね、このひとつのブーケとヘッドドレスのために
仕入れてるわけで、
だから一番いいとこ選びぬいてほしいんだよ。
一番いいとこ!
そのための50本なんだから!
とか、
いい?挙式時間を確認してみて。
披露宴時間を確認してみて。
一会で仕上げて梱包するのが朝6時でしょ?
そっから梱包して送り出すのは7時、
会場に着いて7時30分、
そいでお支度が終わるのが9時30分、
挙式開始が11時30分、
披露宴開始が12時30分。
一会を出発してから実際に花嫁様の手元で
このブーケを持ってもらえるまで6時間のタイムラグがあるわけで、
だからそのときに一番きれいな状態で。
ね、だからこのバラは咲きすぎなの。
だめじゃん?
とかとかとか、
いや、うるさいのはわかってるよ、
分かってるんだけど!
・・・わかってるんだけど、
でもなんのために
こんなに渾身で仕事してるかってったら、
それは花嫁さんに満足してほしいから。
人生のうちにそんなに何度もない、
たった数時間の輝きのうちの、
その日、花嫁様の手元でよりそえる花になれるように。
最近つくりはじめた、
一会のアシスタントさんのための
裏サイトの最初に掲げた言葉は
「すべては花嫁さんの笑顔のために。」
って書いて
書きながら、
ああこういう台詞よく見るよなあ。
ありふれた言葉。
お客さんのために。
という。
べつに結婚業界に限らずに
お客様第一とか
ありふれたせりふなのであって、
お客様第一なんてこと、
と、言うのは、
そうと言うのは、さ、
なんて、た易くて、
なんて面倒で難しいことなんだろう。
毎日の積み重ねのひとつひとつを、
真面目にどんくさく、どろくさく、
ただ丁寧に仕上げるだけ。
神は細部に宿る、
と言う言葉が
とても好きです。
今日もまたアシスタントさんに説教中、
めんどくさくて申し訳ないんだけどさ、
もちろんお客さまに伝わらないときも多々あるんだけど、
こういうひとつひとつの些細なことが
磨かれてたら、磨き抜かれてたら、
伝わる瞬間もあるんだよ。
そういう仕事は、人を感動させるんだよ。
というよりも、
そういう仕事であってはじめて
伝わるんだよ。
と鼻息荒く演説してたら、
そこにナイスタイミングで
ぴんぽんとチャイムがなって、
で、小さな精密なベビーシューズが届きました。
1月の帝国ホテルの花嫁様の、
そのお母様からの
お礼の品でした。
「きっと時間を考えながら(ブーケを)作ってくださったんでしょう」
という言葉に、
ほらね!!!
と
今日、どや顔な自分です。
伝わる、
という不思議。
18年結婚式っていう大事な仕事をし続けてきて、
いまだに不思議なことのひとつ。
こんなにぐだぐだ書く前に、
言う前に、
伝わる人に伝わってるという
この超常現象のこと、
なんていったらいいのだろう。
玄関に飾ると天使がおりてきて
幸せを呼び込むという
そのベビーシューズの
精密さに感嘆しながら、
もうすでに幸せになってる自分です。
いやもう天使が舞い降りる前に
この瞬間に幸せです。
ありがとうございました。
では皆様今日も本当におつかれさまでした。
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