一会のアシスタントさんから、
実のお姉様の為に依頼されたブーケ。

ブーケを実際に見て、
 アトリエで見るのとも違う、
 写真で見るのとも違う、
 ドレスに本当に花嫁さんが持っているところを見たら
 くらべものにならないくらいぜんぜん違う、
 感動しました。
というお褒めの言葉をいただいたので、掲載を。

心が揺れました、といいます。

たぶんどんなことでもそうなのでしょうが、
花を扱うことにも、そのときそのとき、
いろんな制限や問題があります。

発注した花がいまひとつだった。
仕入れがうまくいかなかった。
仕入れたのに、暑くていっぱい咲いてしまった。
寒くて、咲かなかった。

風邪をひいていた。
調子が悪かった。
寝不足だ。
心配事がある。
スタッフが急に休んでしまった。
注文がたてこんでしまった。
時間がなかった。
忙しかった。

悪条件が大小とりまぜていくつかあるのが常のことで、
環境のすべてが完璧に整うことなどありません。

欠けているだらけの条件に、
最後にひとつだけ付け加えることができるとしたら、
自分の思いだけです。
時間がなくても自分の寝る暇を多少削れば、
すこし、時間が作れる。

一句を書くことは 一片の鱗の剥脱である
一片の鱗の剥脱は  生きていることの証だと思う

一片ずつ 一片ずつ剥脱して全身赤裸となる日の為に
「生きて 書け   」と心を励ます

                     (三橋鷹女『羊歯地獄』)

私にとって、やはり好きでしている仕事なので
手を抜くということはすごくしにくい。
拙くても時間がかかっても、出来る限りのことをしたいと
それだけは、本当にそう思います。
これはもう性分だとしかなんとも。。。

しかしそれは所詮、私の独りよがりです。
作り手の思いなどどうでもよいことだ、といつも思います。
どれほど、こんなブーケはもう作れないというほどに
思い入れをしても、それは作り手の勝手です。

でも、こうして、伝わったのかなと思える時、
それはやはり砂漠の中の一粒の砂金のような、
その砂金を本当にこの手にとって、重みを感じるような
錯覚をみます。

ありがとうございました。