フラジール、というバラ。
堀木園芸さんのHPに
その名前の詳細があります。
http://www.horiki-rozen.com/sub5.html
儚さ、壊れやすさをあわせもつ
ため息が出るような美しいバラです。
レース使いの美しいドレスにあわせました。
そしてブーケを持って現れた花嫁様が
「ありがとうございます、ブーケかわいいです」と
私を目に留めて小さく手をふってくださいました。
「そして、うす暗い岩層の底に咲く矛盾をはらんだ花を、
グラヴィールで摘みに行こうとしているのです。そこに
花がさきほこって、私を待っているのがわかるのです。
詩人が私たちに言ったとおりではありませんか。
私は密かに神秘の花を刈る。」
(「エミール・ガレ 人と作品」由水常雄 中公文庫)
引用が長くなりますが、
でもその続きに書かれていることを
まるで今の自分の仕事のように読み出します。
生産者の方の作ってくださった
美しい薔薇を、傷つけないように、
花嫁様の手元に届けられたらと思います。
「私はクリスタル・ガラスの用途にだけ責任があるのではなく
その出発点にも責任を感じます。つまりクリスタルを
手にするものに、クリスタル・ガラスのもつ情愛のこもった
表現、野生的な表現を感じさせねばならないのです。
クリスタル・ガラスに「触れてみる」という特質を
注ぎ込んだのは、ほかならぬ私なのです。暗い陰鬱さ、
あるいは柔弱な薔薇の花の優しさを。」
時々、生花ではなく、鉢物を仕入れて
装花に使うことも、よくあります。
その花が根付く地面から花を切り取る時、
そんな時だけ少し罪悪感を感じて、
ちょっといい人のふりをします。
いつもは散々花を切り刻む、偽善、
けれども、その責任をひきとって
柔弱な薔薇の花の優しさを
伝えなくてはと思うのです。
伝えられたら、と思います。
自分のこの手を介在して。
ではみなさま、今日もお疲れ様でした。

