この写真はなにかというと、
ウエディングの会場の一角。
ご新郎様は、樹木の研究をなさっていて
ご自分で育てられた幼木を何種類もお持ちになり、
それらをウエイティングスペースに置いて
名前をあててもらおう、という趣向。

ひとつひとつ、丹精がこめられているのは
一目で分かった。
会場にセッティングしてなお、
ひとつひとつに丁寧に水やりをしていらして
アシスタントさん
「すっごい愛でてましたね」
寡黙なご新郎様の
「愛情」が育ち形を成したものなんだ、ということが
すごくよく分かりました。

そのお持込になった樹木のまわりを
ちょっとつるなどで飾って欲しいと頼まれて

花嫁さまから前日に来たメール、
「夫と一会さんとのコラボレーションを楽しみにしています」と
言われて、
ひとつひとつのテーブルを
いろんなつるの葉でコーディネイトしました。

メモリアルテーブルには大枝。
スモークツリーとどうだんつつじとリョウブ。
ガラス花器を使って、ナチュラルに。
ナチュラルな装花は大好きな分野ではあるのですけれども、
内情を明かせばこういう仕事は
片づけがとても大変ではある。
そして片付けにいったアシスタントさんはあまりに大変だったので
なんだよもう!と一瞬、やさぐれたらしいのですが
最後に、お二人がとてもとてもとても喜んでくださって
だから、その一瞬でものすごく、泣きそうだったらしいです。
大変だからこそ、喜んでもらえたことの
嬉しさが何倍にも膨れ上がる。
一日汗だくでぼろぼろになるまで働いたあとの
一杯の冷たい水は、
楽して手にするピンクのドンペリより、
きっとずっと美味しい、
それはどんなにお金を積んでも買えない美食です。
こういう仕事が、ウェディングの醍醐味。
喜んでもらえた、それだけですべてが吹き飛んで
ただただ愛情だけが、洗われた砂金のように
手元に残る。
誰が見ていなくても手を抜かずに必死に仕事をしたとき
毎回ではないけど、ごくまれに
手のひらにぽつんと砂金が残る一瞬があって、
それは拾った金塊よりも何万倍も嬉しい、
一度その経験をしてしまうと中毒のように
もう抜けられなくなるのです。
てこの原理みたいに、
自分で、自分の喜びを何万倍にもできる。
そういう仕事だと思っています。
ありがとうございました。
ではみなさまおつかれさまでした。





