秋らしく、ニュアンスカラーでというリクエスト。

本当は、ブラックティという深いワイン色のバラを
使いたかった。

でも仕入日の昨日は、高いわりに色のりがいまいちで
数をそろえたらそれで予算をかなり食ってしまう。
そこで代わりにいれたバラは、ショコラやハロウィン、
そしてこの紅茶色のノーブル。

スズメウリと秋色アジサイは
クロカンブッシュの装花です。

代官山にあるパッション様へお届けしました。

奇しくもこの日のご担当者様は
以前、別の場所でご一緒したことがあって
それも嬉しいご縁でした。

時々、こういうことがあります。
一会は提携外の会場装花のお持込という比率が高く
いろいろな会場様に出入りさせていただきます。
そのたった一度しかお仕事をしたことがない会場様の
プランナーさまやコーディネーター様が
一会の名前を憶えていてくださって、
あの時ご一緒しましたよね、と暖かい声をかけていただく。

本来は装花の持ち込みということ自体
担当者の方にとっては迷惑な話であるのに、
一会の名前を覚えてくださっていて
今回もよろしく、とおっしゃっていただけることは、
これもまた本当に嬉しいことです。

ゲストテーブルの卓上装花と一緒に


花嫁様の心尽くしで
お一人ずつにナフキンフラワーを。

花を置いていくアシスタントさんに
「このパッションさんのお皿にバラの模様が書いてあるでしょ、
それを折り返すように並べるべし」
と言うと
「折り返す?」ときょとんとするので

そうです、折り返して、花で模様をつづるのです。

この一輪の花は、今日この日に、
花嫁様の気持ちを代弁すべく、
ゲストの方をおもてなしすべく、
市場から運ばれて水揚げされて
ひとつずつにリボンをかけられた花です。

ただ花を置いていくのではない、
花嫁様の「ご出席ありがとう」という気持ちを
形にするのです。
このプレートに描かれたバラにあわせてコーディネイトされている
ということを、重々、
各自、念頭においてだな、
内角をえぐるように!
置くべし!置くべし!置くべし!

私たちは、ただ花を飾ってるんじゃありません。
花というもので、結婚式でゲストの方をおもてなししようという
お二人の気持ちを形にしているのです。

そこんとこ、しっかと肝に銘じるべし!
過去の反省も踏まえて私自身が思うことです。

受付においてあったぬいぐるみが座っている椅子は
夏の単発プリザレッスンで花嫁様ご自身が一会にきてくださって
作った作品。
この日の、イリオモテヤマネコ。

その夏の日、レッスンが終わって梱包したときに
色うつりがしないように花と花の間にはさんだ
小さな付箋がそのままだったので、
そっと外して
そうしてバラの花びらをどっさりまいて、
写真をぱちりと撮りました。

深い秋の一日、今日という一日の装花でした。

では皆様今日も一日、本当にお疲れ様でした。