一昨日の帝国ホテル様へのブーケ
そのお色直し用のブーケはこちらでした。

真っ赤ではない、
クランベリーみたいな赤のドレスにあわせたブーケです。

今日、押し花の手配の伝票がFAXで手元に届き、
それを見たアシスタントさんが
「ブーケふたつをふたつとも、それぞれ押し花にしてくれてます・・・」
とつぶやきます。

そのFAXを「ほんと?」と茶化しながら
しばし凝視して、
また、胸がぎゅぎゅぎゅとつまります。

ほんとだ。

挙式と披露宴と、どちらのブーケを保存加工するか
あんなに迷っていらした、
なのにふたつともそれぞれ保存することにしてくださったんだ。

(押し花の中には、二つのブーケを一つのフレームとして
保存加工できるタイプがあるので、
それを選ばれるのだと思っていたのです。)

なんて言ったらいいんでしょう。
この気持ちを。

長い長い間、砂漠をたった一人で歩いていて
もうどのくらい歩いたかもとうに忘れたくらいに歩き続けて
疲れたとかのど乾いたとかおなかすいたとか、
そういうの全部通り越して、
ただもう、もくもくと歩く。
ただ、歩くだけです。

なのに、たまたまその日、ふと目に入って
拾い上げたらそれが砂金だった、というような。

たった一粒、
なのにその一粒の砂金で、
この歩いてきた道のりの、全部が一瞬で報われる。

それで全部があがなわれるほど、
自分にとっては高価な高価な、一粒です。

翌日に、花嫁様から
お礼のメールをいただきました。
一粒の砂金を、いただきました。

きっとどんな仕事もそうですが、
華やかに見えるのはほんとに瞬間風速で、
そこにいたるまでは気の遠くなるほどの
些細な雑用の積み重ねです。
くだらない、つまんない、雑用ばっかり。

でもそれをしなかったら、
そのくだらない雑用ひとつを
とばしてしまったら、
こんな砂金の一粒は、
絶対に得られない。

ありがとうございました。

花嫁さんの手の中で、花嫁さんを励ませるような
そんなブーケを作りたい。

それが私の夢です。

夢がかなう瞬間はいつも、小さいけど
きらきらと確かに光る、金の粒です。

今、そのいただいた報酬を手のひらにのせて、
言葉もなく、ただいつまでも見ています。

早朝の納品、冬の朝、光がまだ十分ではなく
自分の腕ではライティングがうまくできなくて
写真がいまいちでごめんなさい。

では皆様今日もおつかれさまでした。

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