ゆきのひかり。

ユリの花粉は一度つくと、それが皮膚でも服でもとれにくくて、
なかなか厄介です。
「ユリの花弁が開いたら、花粉をとること」は、
おそらく花屋になれば
真っ先に叩き込まれる作業のひとつ。
開き始めたユリの花粉ならまだ粉をふいておらず
直接つまんでも指先を汚さずとれるからです。

(ちなみに、ついてしまった花粉は
こすらずにテープなどを裏返してたたく、というのが
一番のようです。)

長年花屋でいれば、おそらく無意識に自動的に
見つけ次第、とっているのではないかというくらい。

でもこのユリ、ゆきのひかりの花粉は
それすらも美しく、細く長くほのかにオレンジみを帯びていて、
そうしてほぼ無意識にとってしまった花粉のいくつかを
思わず手の平に広げてつくづくと眺めるほどでした。

そしてそれは葉も茎も同じで
濃い深い緑と、ぴんと先々まで水気の行き渡った葉、
しっかりとすらりと伸びる茎。
摘み取って食べられそうな美しい艶、
全部がいったいとなっての「ゆきのひかり」なのだ、と
またこうして写真を見て、つくづく思ってしまうのでした。

このユリをたった一度見てすでに10年以上、
大所帯のフローリストで一番下っ端だった自分が
こうして生産者ご自身の滝沢様から送っていただいて
ユリを手にする日がくるとは、思いませんでした。
やっぱりちょっと、夢のようだなと思います。

ちなみに、この夏季休業中の留守電のひとつに
私の出身高校の生徒さんからのメッセージが一本。
高校卒業していったい今は何年目かと呆然としつつ、
就職活動のことを聞きたいのかな?と思うのですけれど
連絡先が入っていないので、電話がかけられません。
もう一度お電話くださいね。