花衣(はなごろも)ぬぐやまつわる紐いろいろ
杉田久女

「(前略)花衣は花見衣装。花見帰りの軽い疲れに体をほてらせた女が、
1本1本着物の紐をほどき捨てていきながら、あらためて紐の多さに
われと驚いている風だが、そこにこそ女の知る愉悦も快感もあったし、
また自ら桜となって花びらを散らす思いもあった。」

大岡信「折々のうた」岩波新書

春風の花を散らすとみる夢はさめても胸の騒ぐなりけり
西行法師

少年や 六十年後の春の如し
永田耕衣

「大和」よりヨモツヒラサカスミレサク
川崎展宏

たくさんのうたを、「折々のうた」で覚えました。
知らなかった世界を、たくさんの「窓」を
教えてもらいました。

今、東京は3分咲きから満開へ。
まさに日一日と桜がさきほころんでいる今日です。

毎日、花を見て、毎日、ああ桜が今日これだけ咲いたと思う。

なのでこの一週間はいつも、いつの年も
気忙しくて、苦手です。

苦手だけど、それがどれほど貴重な一週間かは
わかるので、惜しい。

惜しくて、でも止められないので、
ただ見ているだけで、
見ていることも足りない気がして、
狂おしい気持ちになります。

いっそ早く終わってほしい。

桜ばないのち一杯咲くからに命をかけてわが眺めたり
岡本かの子

薦(こも)着ても好きな旅なり花の雨
田上菊舎

「薦着るは乞食になること。
そうなっても旅が好きだという見上げた決意。」

ちなみに
上の写真の流氷はアイスランドで、
下の写真の砂漠はブラジルです。

なんか最後の一句のために、唐突に
旅話にすりかわっております。

「折々のうた」シリーズのこの最後の一句が、
自分は一番好きでした。

大岡信先生、ありがとうございました。

今日もいろいろありましたねえ。
では皆様今日も本当にお疲れ様でした。

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